梅原猛の哲学と縄文思想

梅原猛の哲学と縄文思想(縄文思想と日本人)
先日、哲学者の梅原猛氏が亡くなりました(上記写真参照)。彼は、我が思想に最も強く影響を与えた人物ですが、「通夜のルーツは縄文時代にあること」など拙ブログでも紹介したことがあります。
しかし、新聞報道(東京新聞)では、彼が、通夜のルーツなど現在の日本人の習慣が縄文時代までさかのぼれることを初めて明らかにした哲学者であったことについては、あまり紹介されていませんでした。
そこで、梅原猛氏追悼の意味を込めて、今回は、彼の縄文研究について紹介します。
まず、彼は縄文時代に栄えた東北(仙台)の出身で、縄文思想と縁があったと思われます。そして北海道アイヌの研究をし、そこに、日本人のDNAだけでなく、日本人の思想のルーツを発見しました。すなわち、日本人は世界宗教では仏教徒に分類されますが、その前に信じているものがあることを発見したのでした。
例えば、身近な例として、日本人は何故通夜(夜の葬式)をするのかです。そこで、調べると、アイヌの葬式は通夜だけ、すなわち、通夜は縄文時代からあることを発見したのでした。さらに、アイヌ語で神はカムイ、魂はタマなど、精神世界で重要な単語はアイヌ語がベースになっていることを発見したのでした。
そんなことは分かっているというアイヌ研究者が居ます。しかし、それらのことを活字にし、私たちに教えてくれたのが梅原猛氏と思われます。
彼は、さらに、アイヌの「自然との共生思想」に感動し、これを日本人のアイデンテテイとして世界に広げれば世界は平和になることを強調しました。
関連し、彼の晩年は、その縄文思想と仏教の融合、すなわち、「草木国土悉皆丈夫」(人間や動物ばかりでなく植物や鉱物も仏性を持っているという考え方)という哲学の体系化にあった感じがします。
まとめますと、西洋哲学など外国思想を日本に紹介するというのが哲学という風潮が今までありました。しかし、日本人の精神世界のルーツが縄文時代にあることを発見し、日本人の考え方や宗教を哲学にしていったというのは彼が初めてでないかと思います。
関連し、上と下の写真は東京新聞(2019.1.15)の記事です。


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