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梅原猛の哲学と縄文思想

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レインボー
梅原猛死去報道(東京新聞2019年1月)


梅原猛の哲学と縄文思想(縄文思想と日本人)

先日、哲学者の梅原猛氏が亡くなりました(上記写真参照)。彼は、我が思想に最も強く影響を与えた人物ですが、「通夜のルーツは縄文時代にあること」など拙ブログでも紹介したことがあります。

しかし、新聞報道(東京新聞)では、彼が、通夜のルーツなど現在の日本人の習慣が縄文時代までさかのぼれることを初めて明らかにした哲学者であったことについては、あまり紹介されていませんでした。

そこで、梅原猛氏追悼の意味を込めて、今回は、彼の縄文研究について紹介します。

まず、彼は縄文時代に栄えた東北(仙台)の出身で、縄文思想と縁があったと思われます。そして北海道アイヌの研究をし、そこに、日本人のDNAだけでなく、日本人の思想のルーツを発見しました。すなわち、日本人は世界宗教では仏教徒に分類されますが、その前に信じているものがあることを発見したのでした。

例えば、身近な例として、日本人は何故通夜(夜の葬式)をするのかです。そこで、調べると、アイヌの葬式は通夜だけ、すなわち、通夜は縄文時代からあることを発見したのでした。さらに、アイヌ語で神はカムイ、魂はタマなど、精神世界で重要な単語はアイヌ語がベースになっていることを発見したのでした。

そんなことは分かっているというアイヌ研究者が居ます。しかし、それらのことを活字にし、私たちに教えてくれたのが梅原猛氏と思われます。

彼は、さらに、アイヌの「自然との共生思想」に感動し、これを日本人のアイデンテテイとして世界に広げれば世界は平和になることを強調しました。

関連し、彼の晩年は、その縄文思想と仏教の融合、すなわち、「草木国土悉皆丈夫」(人間や動物ばかりでなく植物や鉱物も仏性を持っているという考え方)という哲学の体系化にあった感じがします。

まとめますと、西洋哲学など外国思想を日本に紹介するというのが哲学という風潮が今までありました。しかし、日本人の精神世界のルーツが縄文時代にあることを発見し、日本人の考え方や宗教を哲学にしていったというのは彼が初めてでないかと思います。

関連し、上と下の写真は東京新聞(2019.1.15)の記事です。

梅原猛死去報道2(東京新聞1月)


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レインボー
Posted byレインボー

Comments 4

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aoi

梅原先生の「神々の流竄(ルザン)」を読み、それから古代史に興味を持ったのが始まりです。
歴史の真実を追うのに仮説を立てて行く、すっかりファンになり講演会にも行ったことがあります。
東日本の方でしたか、縄文文化が盛んだった所ですね、新説の日本史まだまだ聞きたかったです。

  • 2019/01/24 (Thu) 16:04
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レインボー
レインボー
Re: aoi さん、梅原先生

aoiさん
大変貴重なコメント、ありがとうございます。

梅原先生のファンですか。
素晴らしいです。
梅原先生のご高説は説得力がありますね。
草々

> 梅原先生の「神々の流竄(ルザン)」を読み、それから古代史に興味を持ったのが始まりです。
> 歴史の真実を追うのに仮説を立てて行く、すっかりファンになり講演会にも行ったことがあります。
> 東日本の方でしたか、縄文文化が盛んだった所ですね、新説の日本史まだまだ聞きたかったです。

  • 2019/01/24 (Thu) 17:14
  • REPLY
cosmos
実は、前の日に胸騒ぎがあったのです、、、

マスコミが梅原先生の亡くなった事を報道する前日ですが、
ポッ!と先生の面影が浮かんできて、
最近はマスコミでの動静が全くなかったのに気づいて、
もしや、年齢的に病いで伏せっているとか?
どうされているのだろう? と案じていました。
自分の身近な人間に、当てもなくどうしていられるのだろうとか尋ねたり、話題にしたり、
すると、翌日、こうでしょう。
やっぱりと腑に落ちると謂うのか、
先生の著書を読んだ懐かしい昔?を思い出して
書棚の先生の著作を眺めて野辺御送りさせていただきましたよ。
全くの赤の他人の私にまで、このようなお知らせが来てくれるとは、
どこか無意識の層で先生と通じたものがあったのかもと?
勝手に喜んでおります。
本当は、壮年期よりもっと、最晩年になってからの思索と云うのか、
もっと深まった御説を伺いたかったのですが、
どんな方でも、死は一定、これで良かったのだと思います。


  • 2019/01/25 (Fri) 15:39
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レインボー
レインボー
Re: 寂光ーcosmos様、梅原先生の思想

寂光ーcosmos様
大変貴重なコメント、ありがとうございます。

梅原先生の思想、寂光ーcosmos様の思想、何か似ているなと思っておりました。
草々

> マスコミが梅原先生の亡くなった事を報道する前日ですが、
> ポッ!と先生の面影が浮かんできて、
> 最近はマスコミでの動静が全くなかったのに気づいて、
> もしや、年齢的に病いで伏せっているとか?
> どうされているのだろう? と案じていました。
> 自分の身近な人間に、当てもなくどうしていられるのだろうとか尋ねたり、話題にしたり、
> すると、翌日、こうでしょう。
> やっぱりと腑に落ちると謂うのか、
> 先生の著書を読んだ懐かしい昔?を思い出して
> 書棚の先生の著作を眺めて野辺御送りさせていただきましたよ。
> 全くの赤の他人の私にまで、このようなお知らせが来てくれるとは、
> どこか無意識の層で先生と通じたものがあったのかもと?
> 勝手に喜んでおります。
> 本当は、壮年期よりもっと、最晩年になってからの思索と云うのか、
> もっと深まった御説を伺いたかったのですが、
> どんな方でも、死は一定、これで良かったのだと思います。

  • 2019/01/25 (Fri) 20:22
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