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ケット人のルーツ

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Y染色体ハプログループQの系譜

ケット人のルーツ(アメリカ先住民族と日本人)

前回、アメリカ先住民族のDNA(Y染色体ハプログループ)はシベリアのケット人のグループQに属するという報告について紹介し、これは、アメリカインデアンなど北米民族だけにあてはまる結果で、容貌などからインカ人など中南米の民族に当てはまらないことを指摘しました。

関連し、今回は、そのケット人とY染色体ハプログループQのルーツに迫ります。

まず、Wikipediaでケット人を調べますと、次のとおりです。

ケット人・ケート族(Ket)は、シベリア中央部のエニセイ川やケット川(オビ川水系)などの流域に住む少数民族。かつてはオスチャーク(Ostyak)と呼ばれたが、これはウラル諸族のハンティ人(ウゴル系)やセリクプ人(サモエード系)など他の民族も含めた名で正確ではないので、区別するためにエニセイ・オスチャークとも呼ばれ、さらに自称からケットと呼ばれるようになった。

固有の言語ケット語を話す。18-19世紀まではケット人と同じ系統の民族(言語はエニセイ語族と呼ばれる)がシベリア中央部から南部に広くおり、近年になって民族集団として認められたユグ人(英語版)(Yugh、現在は数人以下で事実上消滅)も同系統であった。つまりケット人はこれらエニセイ諸族のうち最後に残った人々である。ケット語(エニセイ語族)は他のシベリアの言語とは大きく異なる[注釈 1]。2008年、エドワード・ヴァイダの研究で北米先住民のナ・デネ語族と同系統の言語であることが明らかにされ、デネ・エニセイ語族という呼称が提案されている。
(引用終了)

以上の記事からケット人の北アメリカ移住について考察しますと、まず、アラスカやカナダなど北アメリカ各地に居住地を広げ、ケット語(エニセイ語)の兄弟言語のデネ語を話すようになったと思われます。

ケット人の言語は、北米インデアンのデネ族とケット人のエニセイ族を合わせてデネ・エネセイ語族と呼ばれておりますが、デネ・エネセイ語は北アメリカの一部で使われているだけで、南アメリカでは使われておりません。

一方、ケット人のDNA(Y染色体ハプログループ)の系譜について上の図に示しました。Y染色体ハプログループは、発生の古い順から、A、B、C、D、・・・、O、P、Q、・・・、というアルファベット順に分類されております。

これらハプログループのなかで、日本人と関係しているのが、モンゴル系(ハプログループC)、アイヌ系(同D)、マレー系(同O1b)、中国系(同O2)です。モンゴル系とアイヌ系はアフリカで発生し、日本に移住してきたと言われております。そしてマレー系と中国系を含むOグループは東南アジア当たりで発生したと言われております。

一方、ハプログループQは、O(中国系、マレー系等)とほぼ同時に発生し、イラン付近で17000-22000年前、または31,400年前頃に発生したと考えられています。彼らが、イラン付近で発生したことから判断しますと、陸路でのアメリカ移住は氷河期の氷に遮られ氷河期の移住は困難です。そこで、カナダエスキモーと同じように最近移住したと判断するのが妥当と思われます。事実、エスキモーもQのグループです。

まとめますと、ケット人などY染色体ハプログループQの人々のアメリカ移住は2000年前以降(最近のこと)と思われます。そして、それ以前は、日本の先住民族がアメリカに移住し、インカ人等の南アメリカの先住民になったと結論されます。関連し、このケット人のアメリカ移住の様子を下図に示しました。

ケット人のアメリカ移住と分布

 DNA研究、Y染色体ハプログループ解析とは?

 参考までに、Y染色体ハプログループ解析について、初めての人のために紹介しますと、次のような感じです。
 男性か女性を決める染色体にXとYがあります。XYが男性、XXが女性になるわけですが、Y染色体は男性にだけあり、父親から男の子供に引き継がれることになりますので、そのY染色体をたどると父親のルーツが分かることになります。
 このY染色体は、巨大なDNA配列の塊からできておりますのでそのDNAの配列から種類を細かく分類でき、人類の祖先のDNAを分類するのに最適と言われております。
 たとえば、Y染色体ハプログループがD型ですと、それはアイヌに多い型ですので、その人の男親のルーツはアイヌ系となります。そして、このD型という分類は、10万年経過しても、マイナー変化はありますが、D型のままで変わることはありません。


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