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最近のY染色体DNA情報と従来知見の修正

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レインボー
日本と近縁国のY染色体ハプログループ


最近のY染色体DNA情報と従来知見の修正(日本人のルーツ)

日本人のルーツについては、Y染色体ハプログループ分類が分かりやすく、拙ブログでも利用しているところです。

例えば、日本人は、アイヌ系が35%、マレー系が30%、中国系が20%、モンゴル系が10%、その他5%としてきました。詳しくは「日本人のルーツは、アイヌ、マレー、ツングースの混血」を参照願います。

また、朝鮮半島先住民族ですが、モンゴル人と中国人の混合混血民族のツングース系で、日本に移住してきた割合は日本人の30%(中国系+モンゴル系)としてきました。詳しくは「北方系民族故郷の満州とツングース」を参照願います。

以上の記事は、5年以上前のウェブ情報を基にしていました。しかし、最近、DNA情報は5年前よりも細かく分類されるようになってきました。

関連し、今回は、最近のDNA情報をもとに、5年前との違いについて検討し、従来の知見を修正します。

まず、最近のWikipedia情報ですが、「日本人のDNA情報」をもとに整理編集しますと上表のとおりです。

この表で、従来の知見(拙ブログの過去情報)との違いは次のとおりです。

1. ハプログループCはモンゴル系としていたが、C1が追加され、モンゴル系はC2となった。そこで新C1グループですが、パプアニューギニア地域に仲間が多く居ることが分かっていています。そこで、C1はパプア系と拙ブログでは呼ぶことにします。

2. アイヌ系はDとしていたが、D1a2になった

3. マレー系はO1bとしていたが、O1bグループは、O1b1(東南アジアに多)とO1b2(東アジアに多)に分けられた。そして、O1b2は、O1b2A(マレー系A、日本に多)とO1b2B(マレー系B、朝鮮半島に多)に分けられた。

次に、大きな修正点ですが、C(モンゴル系)がC1(パプア系)とC2(モンゴル系)に分かれたことから、モンゴル系割合が少なくなりました。この結果、ツングース系(モンゴル系+中国系)割合も減ることになります。

上の表で、日本人のツングース系(モンゴル系+中国系)割合は、日本人(1)データでは20%(3.0+16.7)、日本人(2)データでは26%(6.1+19.7)になります。

一方、C1(パプア系)ですが、パプア系が日本に来たことについては「パプアニューギニア系の人々と日本人」で紹介したことがあります。最近の情報で、彼らが日本に2~5%ほど居ることが確認された感じです。

結論として、新情報では、5%単位で観ますと、日本人は、アイヌ系(D1a2)が35%、マレー系(O1b)が30%、中国系(2)が20%、モンゴル系(C2)が5%、パプア系(C1)が5%、その他が5%、となります。

なお、その他5%には、台湾に多いフイリピン系(O1a)、韓国に比較的多いチベット系(N)、シベリアからアメリカに渡る過程で日本に来たケット人(Q)等になります。

次回は、日本に来たマレー系の真相に迫ります。


DNA研究、Y染色体ハプログループ分類とは

参考までに、Y染色体ハプログループ分類について、初めての人のために紹介しますと、次のような感じです。


男性か女性を決める染色体にXとYがあります。XYが男性、XXが女性になるわけですが、Y染色体は男性にだけあり、父親から男の子供に引き継がれることになりますので、そのY染色体をたどると父親のルーツが分かることになります。

このY染色体は、巨大なDNA配列の塊からできておりますのでそのDNAの配列から種類を細かく分類でき、人類の祖先のDNAを分類するのに最適と言われております。

たとえば、Y染色体ハプログループがD1a型ですと、それはアイヌに多い型ですので、その人の男親のルーツはアイヌ系となります。そして、このD1a型という分類は、10万年経過しても、マイナー変化はありますが、D1a型のままで変わることはありません。


 
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レインボー
Posted byレインボー

Comments 8

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KID
C1a1系統はパプア系に違和感があります

C系統は現生人類の中で最初に世界中に拡散したハプロです。その中で日本人に多いC系統はC1a1系とC2系の2系統があります。C2系はツングース系に多いハプロですから問題はないと思います。但し、C2系統の下位区分ではツングース系民族に多いC2aではなく、C2bが日本人を含めた東アジア人には多いようです。

C1a1については、パプアニューギニア人やアボリジニに多いC1b系ではなく、ヨーロッパ人の最古層のクロマニョン人のハプロであり、現代ヨーロッパ人にも少数だが存在するC1a系から分岐したハプロです。縄文人のハプロにもいた可能性もありますが、おそらくは日本に渡来した時期は弥生系の人々と一緒にきたと思われます。その痕跡が中国人や韓国人にもこのハプロがいることが判明しています。

C系統の世界拡散については、不明な部分もありますが、出アフリカをして中東にて2つに分岐して西に向かった人々がC1a系になり、南に向かった人々がC1b系になったと思います。C1b系は南進していきオーストラリア大陸まで到達しました。その途中で北上していった人々がC2系に分岐して北米大陸まで進出しました。ヨーロッパに到達したC1a系の一部は、ユーラシア大陸を東進して日本列島まで到達しました。
この移動ルートについては、古人骨や現代人のYハプロ分布から判断すると、C1b系は南ルート(南アジアからオセアニア)に痕跡を残しており、C1a系は北ルート(ヨーロッパから東アジア)に痕跡を残している点です。

但し、日本に渡来したC1a1がどのような人々であったかは不明です。おそらくは人種や民族的には、一緒に渡来したO1b2系やO2系と同化しており、このハプロ特有の形質や文化はなかったと思います。
ですから、パプア系ではないし、かといってヨーロッパ系でもないと思います。

  • 2021/04/30 (Fri) 02:06
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レインボー
レインボー
Re: KID様、 C1a1系統はパプア系に違和感があります

KID 様
いつも本質に迫るコメント、ありがとうございます。

ご指摘の「C1a1系統はパプア系に違和感があります」ですが、それは当方も感じております。
おそらく、日本人の中にもパプア系に似た人が居ることから、一般にそうした呼び方をしているのだと思います。

しかし、C1a1系統はパプアニューギニア付近にはまだ見つかっていない問題があります。
他の適当な呼称が出てくれば、拙ブログでは修正したいと思っています。
草々

  • 2021/04/30 (Fri) 10:28
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KID
返信ありがとうございます

C1a1系は不思議なハプロです。他のC系統は南ルートで東アジアに進出してきましたが、C1a1系のみは北ルートで東アジアに到達しています。
我々モンゴロイドの殆どのゲノムは南ルートで到達したことを示しています(オーストラロイドから分岐した)が、わずかに北ルート由来のゲノム(西ユーラシア人=コーカソイド系)とも交雑したことを示しています。この北ルートの第一弾がC1a1系だったと思います。
とは言っても、C1a1系はヨーロッパのC1a2系とは4万年前に分岐していますから、殆どコーカソイド系のゲノムは現在には残っていないと思われます。その後に北ルートにて移動してきた人々のゲノムの方が多いのではないかと思います。
ちなみにC1b系とは6万年前に分岐しています。こうなると同じC系統とは言っても、別のハプロと言ってもよいくらいに分岐年代が古くなります。それだけC系統は古いハプロの証明かもしれません。

しかし、Yハプロを見ても日本列島は不思議なエリアだと思います。出アフリカをしたC系統、D系統、それにC系統から分岐した現在世界の主流派のK2系統(Q・R・O・N系統の祖)が共存しているのは興味深いです。また、中東にて分かれたC系統が再合流するのも面白いです。
極東の島国という地政学的な立地もありますが、レインボーさんが仰る日本人にある縄文思想が根底にある点が可能としたのではないかと思います。

  • 2021/04/30 (Fri) 19:11
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-
C1a1は港川人、C2a2は細石刃文化人

C1aはアルメニアやネパールでも検出されてます。移動速度が早かったから、移動ルートの痕跡を残さなかったんでしょう。港川人の骨格はアボリジニとよく似ており、スンダランドでC1bと別れた可能性が高い。C1a1は南九州に上陸した後、鬼界カルデラ巨大噴火の影響で全国に拡散、その一部が韓国にも若干残ってる。

C2a2は樺太から来たマンモスハンター、2万年前まで北海道は無人地帯。日本人のDNAの5%がネアンデルタール人やデニソワ人で、ミトコンドリアがN9bなのはおそらくこのタイプ。
C2bは西日本に多い渡来系朝鮮人の一派。

地域 サンプル数 C1a1 C2(C2a2+C2b)
アイヌ 19人 0% 10.5%
北海道 762人 3% 5.6%
東北 181人 3.9% 5%
関東 771人 4.2% 6.1%
東海甲信 486人 4.1% 3.1%
北陸 584人 3.9% 6.3%
近畿 487人 6.2% 5.1%
中国地方 188人 7.4% 9%
四国 637人 6.1% 6.9%
九州 579人 4% 6.7%
沖縄 279人 10% 2.2%
計 4954人 4.8% 5.7%
韓国 506人 0.2% 12.5%

レインボー
レインボー
Re: KID 様、C1a1系は不思議なハプロ

KID 様
たびたびの貴重なコメントありがとうございます。

「C1a1系は不思議なハプロ」ですが、拙ブログでも同様に感じております。
そして、そのルーツですが、日本人にも見られる縮れ毛などのルーツがC1a1とすると、やはり、南方系でないかと見ています。

私こと、8年前にパプアニューギニアを2週間ほど訪問したことがあります。
大きな島で、多数の民族が居ることが分かっています。そのうち、C1a1はパプアニューギニア付近で見つかると予想しております。
草々

  • 2021/05/01 (Sat) 12:59
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レインボー
レインボー
Re: 名無し様、C1a1は港川人、C2a2は細石刃文化人

名無し様
貴重なコメント、ありがとうございます。参考にさせて頂きます。

なお、その情報では、C1a1が、四国637人、関東771人、九州579人と太平側に多い感じがします。
その意味で、アイヌ系と同じように太平洋側を北上した雰囲気がありますね。

また、日本最初の移住民(旧石器時代人)である可能性もありますね。
草々

  • 2021/05/01 (Sat) 13:10
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KID
C1a1系統の移動ルートはまだ確定していません

C1a系とC1b系が分岐したのは5万年前としていますから、C系統が出アフリカをした時期は6万年以上前としています。現生人類では一番早く出アフリカをして世界中に拡散したハプロですから、その後に世界拡散したハプロに痕跡は消されてしまっています。

まだ未確認情報ですが、昨年発見されたブルガリア洞窟の4万年前の古人骨にC1a1系があったとの情報があり、私の考える北ルートの可能性があります。
南ルートの可能性も否定は出来ませんが、南アジアからオセアニアにかけてのネパール人以外の現代人と古人骨には出てきませんので、鬼界カルデラ巨大噴火の影響があったとしても、それはC1b系の可能性があります。

また日本においても、C1a1系統は縄文人骨からも発見されていないし、縄文直系のアイヌにも存在していないので、縄文系とするのも疑問が残ります。加えて港川人のハプロは測定できなきなかったようです。比較的均等に全国に分布(青森と徳島と沖縄に多いが)しているので、縄文というよりは弥生系の可能性はあると思います。ちなみに日本人の縮毛の遺伝子はネグリトもいるD系の影響であると思います。
古人骨ではヨーロッパからロシアにかけてC1a系が出土し、南アジアから中国にかけてはC1b系が出土している事実があります。

南ルートとして考えられる可能性としては、中東か中央アジアにてC1a系とC1b系に分岐したときに、西進しなかった一部のC1a系がC1b系と同行してアジア地域まで進出したことになるでしょう。但し、少数であったので、古人骨や現代人に痕跡を残していないということになります。またこれにはピュアなC系も同行し、アジア地域で北上してC2系に分岐した可能性もあります。但しC2系は中東か中央アジアにてC1系統と分けれて東進した可能性もあります。
そして、日本から朝鮮半島、中国あたりでC1a1は人口が増大して今日に至る形になります。

現在では、どちらの説にしても決定的なエビデンスは出てきていないので、何とも言えないことが実状でしょう。

  • 2021/05/02 (Sun) 15:55
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レインボー
レインボー
Re: KID様、C1a1系統の移動ルートはまだ確定していません

KID様
いつも貴重なコメントありがとうございます。
たいへん参考になります。

なお、縄文時代以前の人びとですが、拙ブログでは、旧石器時代遺跡が10万年前からあることから、
C1a1系統かD2系統が、その頃からいたのではないかと思っております。
草々

  • 2021/05/03 (Mon) 10:19
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