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巨大古墳建造のため奈良に動員された人数

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マダガスカルの鍬による耕起


巨大古墳建造のため奈良に動員された人数(古墳と日本人)

前回、古墳時代前期、巨大古墳が奈良の地域に多数建造されたことを紹介しました。関連し、今回は、建造に動員された労力について検討します。

まず、古墳建造の労力事例ですが、5世紀前期に建造された岡山の巨大古墳「造山古墳」(全長360m)があります。その「大国主の誕生383 ―造山古墳のもう1つの謎―」 によれば次のとおりです。

 造山古墳を建造するにあたって、どれだけの労力を必要としたのか?・・・(中略)・・・

 〇古墳の盛り土は約27万立方メートルで大型ダンプ約4万2千台分に相当。
 〇墳丘の葺石の採取から水上・陸上の運搬・施工まで延人員は約20万人を要する。
 〇埴輪の製作には延8万7千人を要する。
 〇以上のような諸々の条件を含めて築成までの延人員は150万人以上と推定。ただし、これは
  現在の土木用具を使用した場合での試算。
 〇この150万人という数字は、当時の日本全土(東北北部と北海道、沖縄を除く)の推定労働
  人口に匹敵する。
 〇総工費は昭和63年の時点で約200億円以上の試算。

(引用終了)

また、世界最大の大仙陵古墳の労力は、「NHK「知られざる大英博物館ー日本の巨大古墳の謎」」によれば次のとおりです。

(前略)・・・なぜそのような再利用をしたかというと古墳を一つ作るのにも大変な費用と労力がかかるからだ。
たとえば日本最大の仁徳天皇陵は全長486mと言う途方もなく巨大な陵で、延べ人数680万人、15年の歳月をかけて建造されたと言われている。

単純計算で毎日休まずに作ったとしても1000人強の人が毎日動員されていたことになる。

(引用終了)

以上の事例では、「造山古墳」(全長360m)に150万人、「大仙陵古墳(仁徳天皇陵)」(全長486m)に680万人、となっています。

これを1m当たり人員にしますと、「造山古墳」は0.4万人/m、「大山陵古墳」は1.4万人/mになります。大きな差異がありますが、これは評価の違いで、「造山古墳」は現在の土木用具を使用した場合の試算、「大山陵古墳」は規模が大きく横幅もあるためと思われます。

そこで、ここでは、中間の1万人/mを用いて、4世紀の奈良の200m以上の巨大古墳の建造人員を試算しますと次のとおりです。

まず、前回紹介の墳丘長200m以上巨大古墳ですが、4世紀には奈良で11古墳建造されています(下表参照)。

奈良地域の古墳時代前期巨大古墳

これら11古墳の合計墳丘長は2532mです。これを1万人/mという数値を使い単純計算しますと合計労力人員は2532万人となります。

さらに4世紀100年で単純計算しますと、1年当たりの労力は25.32万人です。

年間250日働くとすると、1日当たりちょうど1000人になります。また、農閑期(冬4か月)だけの作業になりますと、1日当たり3000人になります。

関連し、古代の装備ですが、今でも機械化されていないマダガスカルの事例では、掘り上げる農具としては幅15㎝程度の鍬(すき)があるだけです(上トップ図参照)。スコップも一輪車もありませんので、古代の作業効率は悪かったことが予想されます。

次に、東海、近畿、中国、四国地域の当時の人口ですが、Koyama(1978)によれば下表のとおりです。

東海、近畿、中国、四国地域の古代人口

このデータから総人口変動曲線を求めますと下図のとおりで、古墳時代4世紀のこれらの地域の総人口は約50万人と推定されます。また、当時の奈良に君臨した大王の支配地域が60%とすると、30万人が巨大古墳建造関係地域人口になります。

東海、近畿、中国、四国地域の古代人口変動

これらの数値が正しいか不明ですが、これらの数値から推定されることは、農閑期(12月~3月)に30万人の民衆から3000人(1%)を集めることになります。

さらに、これらの労力人数と管理する人数を合計すると、巨大古墳建造は大変な事業だったことになります。

関連し、次回は古墳建造と民衆の疲弊について言及します。


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Posted byレインボー

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