誤りと偽りの考古学・纏向

誤りと偽りの考古学・纏向(古代史の虚像と書籍)
年末のあいさつで、「誤りと偽りの考古学・纏向(これは、第二の旧石器捏造事件だ!)」(2019 安本美典)についてタイトルだけ紹介しました(上記写真参照)。今回は、その感想を述べてみたいと思います。
まず、邪馬台国ヤマト説ですが、これは副題のとおり第二の旧石器捏造事件と思われます。
例えば、魏志倭人伝に記載されている、鉄剣・鉄刀・鉄矛、棺あって槨(かく)なし、等について、奈良の纏向遺跡には邪馬台国があったという出土物はないと指摘しています。確率論でも、「邪馬台国は99.9%福岡県にあった」(2015 安本美典)と結論していますが、その通りと思われます。
そこで問題となるのが、少し調べればすぐ分かることが、なぜ奈良の「奈良の纏向遺跡=邪馬台国遺跡」が根拠もなく広く認められているのか、になります。
似たようなこととして古代史関係では旧石器捏造事件というものがありましたが、同じように「奈良の纏向=邪馬台国説」も、まったく物的根拠のない話で、同じ「捏造事件」と言ったほうがふさわしいとあります。
最近の捏造事件では、小保方晴子氏の「STAP細胞事件」等の研究不正事件に似ており、その背景に、研究が有名になれば、研究費の入手、研究者の名声・地位向上がしやすくなることがあります。
そして、研究捏造の背景には、売れれば良いというマスコミの変更報道、いわゆるフエイクニュースがあるとあります。
小生の経験ですが、テレビ「世界ふしぎ発見」で「奈良の纏向遺跡=邪馬台国遺跡」として紹介したときの話です。リポーターが、おかしいと思ったのか、「これは邪馬台国遺跡じゃないの」と発掘現場の研究者に尋ねたところ、彼は「そういうことを言う方もおられます」と軽く返答していました。
すなわち、現場の研究結果と関係なく、「纏向遺跡は邪馬台国」と報道すれば視聴者が増えるという発想で、事実と違うことがテレビでは平気で報道されていることを知ったしだいです。これにはがっかりし、その後、「世界ふしぎ発見」を見る意欲がなくなりました(笑)。
まとめますと、「奈良の纏向遺跡=邪馬台国」は、「説」というよりも物的根拠のない「捏造事件」という本著の指摘は当たっています。そして、それは、本著指摘のとおり「第二の旧石器捏造事件」になっている感じがします。
こうした捏造を平気で発表する研究者にも問題ありますが、こうした捏造物語を紹介するマスコミにも大きな問題があります。
なお、邪馬台国ヤマト説を紹介している書籍は、都合の悪い邪馬台国倭人の風俗を故意に無視していることを、年末の記事で紹介しました。そして、昨年(2020年)発刊された本もそうであったことを紹介しましたが、再度紹介しますと下の写真のとおりです。


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