学研まんが「NEW日本の歴史」で訂正された鉄器伝来
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レインボー

学研まんが「NEW日本の歴史」で訂正された鉄器伝来(古代史の虚像と書籍)
小学生向き「学研まんが」の新版「NEW日本の歴史」(2012)が出ております。
その新版では、旧版の第1巻「日本のあけぼの」(1982年発行)の内容で訂正されている箇所があります。
今回は「鉄器伝来の真実」について検討します。
旧版では、稲と鉄は漂流者が弥生時代の始まりに持ってきたように描かれています。その様子は上のマンガ絵のとおりです。
弥生時代の始まりと言われる水田稲作は、3000年前に北九州で始まったと言われるようになりました。
水田開発や用水路建設には鉄器農具が必要ですが、しかし、そのときには鉄器が入ってきていないというのが定説になりつつあります。
詳しくは「北九州の初期水田開発は石器で行われていた」を参照願います。
そして、鉄器導入については、水田稲作は2300年前から本格的になっていったことや遺跡物の調査から鉄器は2300年前頃から普及し始めたことが定説になりつつあります。
以上のことから、稲作と鉄器は別々に入ってきたと見た方が良いと思われます。これらのことから、漂流者が鉄器をもってきたという旧版の内容は新版で訂正されたのは適切と思われます。
しかし、新版で鉄器が導入されたのは弥生時代とありますが、詳しい導入時期の解説や鉄器農具の歴史的意味について説明がありません。
まとめますと、鉄器導入は、水田稲作の発展だけでなく、弥生時代の始まりや、畑作、古墳建造、戦争と関係し、歴史発展解説にはたいへん重要な項目です。新版では、その最新情報を入れて欲しかったところですが、それらのことにまったく説明されていないことは極めて不十分な歴史書と判断されます。
なお、鉄器導入については、拙ブログ記事「稲と鉄は別々に導入された」を参照願います。

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