学研まんが「NEW日本の歴史」、卑弥呼の墓の形の問題

学研まんが「NEW日本の歴史」、卑弥呼の墓の形の問題(古代史の虚像と書籍)
小学生向き「学研まんが」新版「NEW日本の歴史」(2012)が出ております。前回は、新版の内容で、「弥生時代の稲作の普及が早すぎる問題」について検討しました。
今回は、「邪馬台国の卑弥呼の墓は前方後円墳では無かったこと」について検討します。
新版では、「邪馬台国はどこにある?」という表題で(上図参照)、近畿説と北九州説を紹介しています。
そして、近畿説では「箸墓古墳があり、卑弥呼の墓ではないかと考えられています」とあります(下図参照)。

しかし、多くの研究者が指摘していることですが、魏志倭人伝では「卑弥呼の墓は円墳」と記載されているのに対し「箸墓古墳は前方後円墳」で、明らかに魏志倭人伝の記述と違います。
何故、このような明らかに間違っている情報を出すのでしょうか。おそらく、邪馬台国近畿説を説明するための一つと思われますが、無理過ぎます。
拙ブログで何度も指摘していることですが、「邪馬台国は99.9%福岡県にあった」(2015 安本美典)と言われているように、邪馬台国近畿説は100%あり得ません。
さらに、拙ブログで指摘している邪馬台国近畿説の最大問題は、邪馬台国の人びとの刺青等の南方系の風習です。邪馬台国の人びとの風習は中国海南島の人びとに似ていると魏志倭人伝に記載されていますが、この風習は大和(奈良県)ではあり得ません。
邪馬台国近畿説では、なぜか、この問題に触れません。おそらく触れると都合が悪いので無視しているとおもわれますが、こうなると、邪馬台国近畿説は事実を無視した想像の産物で、歴史解説書に乗せるような説にはなりえません。詳しくは「邪馬台国の場所と民族」を参照願います。
まとめますと、「箸墓古墳=卑弥呼の墓」は100%あり得ません。不見識もいいところです。関連し「誤りと偽りの考古学・纏向」を参照願います。
以上のことは、小学生向き「学研まんが」(新版)は、事実でないことを平気で載せている歴史解説書になっていて、小学生に勧める書籍になっていません。残念なことですが、このことは、最近の書籍でも日本の古代史は戦前と変わっていないことを示す実例と言えましょう。
次回は、「倭の五王問題」について検討します。

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